【Interview – keshi】「アジア人という理由で僕の音楽を聴かないで」

keshi

夜の公園を歩きながら2 soonを聴きたい皆さん、こんにちは。今回は最近人気急上昇中のアーティストkeshiの音楽、そして彼のパーソナリティに迫ったインタビューを和訳してみました。和訳した記事はFROM THE INTERCOMのInterview:keshiから。和訳記事の投稿を快諾していただき、ありがとうございました。

 

 
※インタビューは2019年10月に行われたものです。

 

 

 

 

「勉強用BGM」や「作業用 チル ヒップホップ」などとYoutubeで検索したことがあれば、恐らくアニメ調のかわいい女の子が勉強・作業しているサムネイルの動画を一度は見たことがある事でしょう。私は元よりそういった音楽、Cozy Beats(居心地の良いビートの曲)が大好きで、聴けばいつでも「真夜中のチルな気分」にさせてくれるのです。23歳にして作曲家、シンガーであるkeshiはそういったLo-Fiヒップホップのコミュニティーで頭角を現したアーティストの一人です。彼はSpotify,Apple Musicなどをはじめとした様々な音楽プラットフォームで着実にフォロワーを増やしており、それは彼の実力からすれば当然の事かもしれません。彼の「宙に浮いているようなノスタルジックなメロディー」で「心に響く、共感間違いなしの歌詞」な彼の曲にリスナーは魅了されるばかり。
最近では新曲「2 soon」がリリースされました。今までよりアップビートで曲中の強弱が激しく、keshiの音楽の新しい方向が見えた曲ともいえるでしょう。彼の今後に一層期待が深まるばかりです。

 

 

Interview: keshi

現在は音楽活動をメインで生活されているのですか?他に何かお仕事をしているのでしょうか?

は看護師としてフルタイムの仕事をしていますが、今後は作曲のみで生活していきたいなと思っています。

 

音楽はもとより好きでしたか?作曲を始めたきっかけは何ですか?

さいころから音楽は大好きでした。13歳の頃にギターを弾き始めて、色々なジャンルの曲を作ってきました。「keshi」として活動する前は尊敬していたジョン・メイヤーやエド・シーランのようなアコースティックな音楽を作っていました。パンクロック以外で本格的な作曲をしたのはその時が初めてでした。ジョン・メイヤーの曲を始めて聴いてから自身の作曲には本腰を入れ始めましたね。そこから結局ヒューストンでの音楽コンペでの演奏に至り、そこでの演奏を評価してくれたみたいで、主催者よりLAでの演奏をさせてもらうことになったんです。他人の前で演奏したり、閉鎖された空間で作曲をしたりしていると、こんな事世界で僕一人しかしてないんじゃないかなって、それまでは考えたりしていましたが、LAでの演奏で「ああ、僕以外にも同じような人がいっぱいいるんだな」って、「僕より凄い人なんて沢山いるんだな」って気付かされましたね。


あの頃は少し迷っていた時期だったんです。自分の音楽が分からなくなってしまって、音楽活動を辞めようと思っていて。あの時は人生の岐路に立っていたかもしれないです。でもその葛藤があって「keshi」を始められたと思ってます。当時はLo-Fiミュージックが流行りだした頃でした。その頃はいろいろなジャンルの曲を聴いていて、なかでもTomppabeatsやIn Love With a Ghost、Jojiの作る音楽が大好きでした。従来の音楽とは型破りの音をつかって表現していて、まるで硝子、水、大理石が合奏しているような音で、僕にとって本当にクールな音楽だったんです。これまでの音楽にはない多様性を秘めていて。当時は皆新しい音楽を探していたのもあるかもしれません。


もう一つあった事が、当時は僕の音楽を聴いていた人は友達とか家族とか、周りの人ばかりで、でもそれなのに少し天狗になっていたんです。僕、すごいなって。100人もリスナーがいるんだぜみたいな。けど、LAでの演奏をした後に気付いたんです。僕のリスナーって、友達しかいないじゃんって。もっと「他人」に聴いてもらって、評価してもらいたいなっていう純正な気持ちがあったんです。ただただ僕の音楽をべた褒めしてくれる人以外でね。とにかく、音楽で失敗してるところを知り合いとか身近な人に見られたくないな~って思ってましたね。


なので何をしたかっていうと、SoundCloud(世界最大級の無料音楽ファイル共有サービス)で適当にアカウントを作ったんです。keshiって名前で。keshiっていうのは僕の子供の頃のあだ名で、今も彼女からはそう呼ばれてるんです。彼女とは10歳くらいの頃からの幼馴染です。当時は彼女の家によく遊びに行ってたんですけど、そこで彼女のご両親が僕の事をkeshiと呼んでいたんです。今でもそうです。まぁ思い出としてその名前でアカウント登録したんです。それがまさかこの名前で世界に知られるとは考えてもいなかったです。別に嫌だったって訳では全くないですけど、ただ単にビックリしたというか。今では皆当然の様に僕の事をkeshiと呼んでくれますが、相変わらず少し変な感じがします。「keshi」と「僕」は別物だと考えているから。「keshi」はプロジェクトの名前として、三人称の存在として扱っているんです。不思議ですよ。当時は大量のデモ曲、それも酷いクオリティのものを親しい友達との間のみに公開してるつもりで投稿してたんです。プライベート用ですよね。それからReddit(アメリカで人気の投稿サイト)が主催していた公式の音楽コンペがあったので、LAでの公演以降初めて書き上げた曲を提出したんです。最初に書き上げた曲は“if you’re not the one for me who is?”でした。この曲をRedditのコンペに提出したら選出されて。その頃Lo-Fiのサウンドを真似た音楽を作っていたのは少ししかいませんでした。皆勉強中といった感じでしたね。選出されたことは僕にとって凄く大きな出来事でした。というのも、Lo-Fiチックな音楽は元々僕が作っていなかったジャンルですし、ある意味新しい境地で成功した、という事だったので。それまでのアコースティックミュージックとは全く違ったジャンルです。それが「他人」に聴かれ、評価される。まさに僕が求めていたものでした。それからは自身の音楽をがむしゃらに人に押し付けるのはやめましたね。


あえてリスナーに僕の曲を探してもらうようにしました。思うに、聴いたことが無い曲に「良い出会い方」をすれば、その曲が一層魅力的に聞こえるんです。Youtubeのアルゴリズムなんか、本当にすごくないですか。視聴者の聴く曲に合わせて、テイストの似た曲をお勧めしてくれるじゃないですか。それでおすすめに出てくる曲がまたドンピシャなんですよね。僕はありがたいことに、アルゴリズムに結構認識されるんです。本当に感謝しかないです。後、Spotifyとかでも同じで、新しい音楽、所謂「あなたが好きそうな曲」が高確率で好きな曲なんです。Spotifyでもよくすすめアーティストにリンクしてくれるので、本当に幸運です。keshiとして音楽活動を始めてから、初めてある人気プレイリストに僕の曲が載った時は今も覚えています。友達がそれに気づいてスクリーンショットを取って僕に送ってくれたんです。その時は「まじか、これで一つ目標達成できたな」って感じで。当時はほとんど誰も棒の事を知りませんでしたから。今は違いますけどね。

 

曲のインスピレーションはどのようにして得ていますか?

て僕の実体験からヒントを得て作ってます。結構正統派な音楽を作るのって大事だと思ってて、これが面白いんです。「keshi」には僕の実体験を凝縮していて、曲の多くは暗く、ミステリアスな歌詞が多いです。僕自身、孤独をすごく恐れていて、多分歌詞を見てもらえばそれが伝わってくるかと思います。好きな人を素直に愛することが出来たら、それってとても素敵じゃないですか、でもそれがもたらす苦痛もありますよね。僕はそういう恋や愛がもたらすほろ苦い感情を音楽で体現することが大好きなんです。ムードを言語化して伝えるって感じですかね、それを楽しんでます。“if you’re not the one for me who is”ではそういった「感情」を上手く伝えられていて、僕のお気に入りなんです。曲中の歌詞”if you’re not the one for me who is”は「僕には君以外は誰もいないの」みたいな感じだけど、一方で”you’re the only one for me(君しかいない)”は少しロマンティックな感じに聞こえる。でも裏を返せば僕には「君以外は誰もいないんだよ?」といった意味にもなって、すごく孤独に聞こえるです。そして、孤独は突然訪れるものなんです。

 

自分なりの作曲方法はありますか?

ポップミュージックにはない結構奇抜なコード進行を好んで取り入れるようにしてます。Lo-Fiって7つのマイナーコードの曲ばかりで結構飽和状態なので、それらはあまり使わないようにしてます。あと、ジョン・メイヤーの影響は結構受けてるかもしれません。もともとの作曲方法はなんか、椅子に座ってギターを持って、それから歌詞を書いて。。。といった感じだったんですけど、今は綺麗な音の鳴る指板を探してはサンプリングするって感じです。別にサンプリングするのが好きなわけじゃないです。というのも、他のアーティストの音楽を真似て自分の曲だなんて言い張りたくないじゃないですか。なので、先ずギターでしっくりくる音を探して、それから4小節のループを作って、納得できるサウンドになってからドラムを加え、バスを加えて。4小節分完成すれば、大体15~20秒くらいになってるので、そこから曲全体を作っていきます。サビだったり、間奏だったり。全体が形になってきたら細かいエフェクトや微調整をします。それから声を入れていくんですけど、最初は歌詞が決まってないのでぶつぶつ言葉で適当な音を探しますね。ハミングか。で、曲を作るうえで一番多変なのが作詞です。これだ!っていう歌詞を探すのは数か月かかります。メロディーはすぐに出てくるんですけど、歌詞に時間がかかるんですよね。

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